Webデザイナーやクリエイターとして転職活動をする際、必ずと言っていいほど提出を求められるのがポートフォリオです。
ポートフォリオは、ただ作品をまとめただけの「作品集」ではありません。
転職や就職活動で成果につなげるためには、自己PRやプロフィール欄を工夫し、「あなたがどんな人物で、どんな強みを持ち、将来どう活躍していくのか」をしっかり伝える必要があります。
この記事では、ポートフォリオにおける自己PR・プロフィールの書き方を解説し、具体的なサンプル文例もご紹介します。初心者や実績が少ない方でも応用できる内容になっていますので、参考になれば嬉しいです!
自己PR・プロフィールが重要な理由
転職活動におけるポートフォリオは、採用担当者にとって「あなたを知る最初の窓口」です。
どんなに優れた作品が並んでいても、自己PRやプロフィールが空白だったり薄かったりすると、評価が半減してしまいます。
なぜなら、企業が見ているのは「スキル」だけでなく「人柄」や「将来性」だからです。
特に未経験者や実績が少ない方の場合、自己PRの内容次第で「伸びしろがある人材」と印象づけられるかどうかが大きく変わります。
■ 採用担当者は「作品だけ」では判断しない
採用担当者は、あなたのスキルだけではなく「どんな人なのか」「チームに合うのか」も重要視しています。
作品はもちろん大事ですが、それ以上に人柄や働き方の姿勢を伝える必要があります。
■ 実績が少なくても印象を変えられる
駆け出しのWebデザイナーの場合、制作物が少なくて不安になる方も多いでしょう。
しかし、ポートフォリオにしっかりとした自己PRがあれば「伸びしろがある」「意欲が高い」と評価されます。
■ 転職市場では「スキル+人間性」がカギ
企業は長期的に活躍してくれる人材を求めています。
そのため「成果を出すスキル」と同じくらい「協調性」「学習意欲」「成長意欲」といった人間性も重視されます。

採用担当者は「一緒に働けるかどうか」も重視しているよ!
自己PRの基本構成

自己PRは、ただ「自分はこういう人です」と自己紹介をするだけではなく、「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるように伝えることが大切です。
そのためには、文章にちょっとした工夫を入れる必要があります。
ここでは、誰でも取り入れやすい3つの流れをご紹介します。
1. 強みを一言で伝える
最初の一文は、自己PRの顔ともいえる部分です。
ここで「この人はこういうことが得意なんだ」と伝われば、読み手の印象に残ります。
また、企業は多くのポートフォリオに目を通すため、冒頭であなたの強みが一目でわかることが重要です。
たとえば次のようにシンプルにまとめると効果的です。
- ユーザー目線で考えたデザイン改善を得意としています
- 修正対応のスピードと丁寧さには自信があります
ポイントは、短くわかりやすく伝えること。
一文だけでも「あなたの強み」が伝われば、そのあとの文章も読んでもらいやすくなります。
逆に、最初から長々と経験を並べると、印象がぼやけてしまうので注意が必要です。
2. 具体的なエピソードを入れる
強みを伝えたら、その裏付けとして「どんな経験をしたのか」を入れましょう。
ただ「得意です」と書くだけでは、どうしても説得力に欠けてしまいます。
もし実務経験がある方なら、数字や成果を交えるとより伝わりやすくなります。
一方で、スクール生や実務未経験の方は、学習中に工夫したことや、先生・仲間から評価されたことを書けば立派なアピールになります。
■経験者の例
前職ではコーポレートサイトのリニューアルを担当し、ユーザビリティを改善した結果、直帰率を20%減らすことができました。
■未経験者・スクール生の例
スクールで制作したウェブサイトの課題では、ユーザー導線を意識してデザインを改善し、回遊率を20%高める提案を行いました。
このように、経験の多さに関わらず、“事実に基づいたストーリー”を盛り込むことが信頼感につながるのです。
3. 企業にどう貢献できるかを示す
自己PRの最後は「これからどう役立てるか」で締めくくりましょう。
採用担当者が一番知りたいのは「この人を採用すると、会社にどんな良い影響があるのか」という部分だからです。
たとえば次のように締めくくります。
- これまでの経験を活かし、Webサイトの改善や新規制作で成果につながるデザインを提案していきたいです。
- ユーザー視点を大切にしたデザインで、御社のサービス価値をさらに高めるお手伝いをしたいと思っています。
“相手にメリットを提示する”ことを意識するのがポイントです。
こうすることで、文章が「過去の紹介」で終わらず、未来に向けた前向きなメッセージになります。

自己PRは「強みを一言で示す」「具体的なエピソードで裏付ける」
「最後に“どう役立つか”で締める」という流れを意識しよう!
プロフィールに盛り込むべき内容

ポートフォリオの中で自己PRと同じくらい大切なのが「プロフィール」です。
プロフィールは、履歴書のように応募者の背景を伝えるだけでなく、「この人はどんな人で、どんな方向性を持っているのか」を採用担当者に知ってもらう役割を持っています。
自己PRが“あなたの強みのアピール”だとすれば、プロフィールは“あなたの全体像を紹介する名刺”のようなものです。
ここでは、プロフィールに盛り込むべき主な内容と、書き方のポイントを整理してみましょう。
■氏名・連絡先(基本情報)
まずは基本情報です。氏名、メールアドレス、電話番号は必須。
ポートフォリオサイトの場合は、メールフォームを設置すると問い合わせもしやすくなります。SNSや制作アカウント(GitHubなど)を載せるのも良いでしょう。
■経歴(前職やスクール卒業歴など)
これまでの経歴を簡潔にまとめましょう。
社会人経験がある人は前職の業務内容を、未経験の人はスクールや独学の学習歴を書くだけでも構いません。大切なのは「この人はどんなバックグラウンドを持っているのか」が伝わることです。
■得意分野
「私はここが得意です」という分野を1〜3個ほど絞って書くと読みやすくなります。
たとえば「Webデザイン」「HTML/CSSコーディング」「バナー制作」など、具体的に示すと、採用担当者があなたの適性を判断しやすくなります。
■使用可能なツール・スキル
デザインツールや開発スキルも大切な情報です。
「Photoshop」「Illustrator」「Figma」「WordPress」「HTML/CSS」「JavaScript」など、自分が触れるものを書きましょう。
ただし「Photoshopができます」よりも「Photoshopでバナー制作を10件以上経験」など、“どのくらい扱えるのか”を具体的に書くと信頼感がアップします。
■将来の方向性(どんなデザイナーになりたいか)
プロフィールの最後は、あなたの未来について書きましょう。
「UI/UXに強いデザイナーを目指したい」「企業のブランディングに関わるデザインに挑戦したい」など、今後の方向性を一文でも添えておくと、採用担当者はあなたの成長イメージを描きやすくなります。
書き方のコツ
実体験から学んだポイント

私自身も、これまでに何度かポートフォリオを作成してきました。
最初はスクールを卒業した直後、そして後にフリーランスとして活動を始めたときです。その過程で「どうやって見せるか」にばかり気を取られてしまい、なかなか思うように伝わらなかった経験があります。ここでは、その体験から学んだことをシェアします。
【スクール卒業直後】
最初にポートフォリオを作ったのは、地元のデザイン会社に応募したときでした。
当時は印刷物をアルバムにファイリングして提出していました。ただ、アルバム形式にはいくつかの悩みがありました。
- 作品数が少ないと、どうしても空白ページが目立ってしまう
- 逆に作品が多いと、ページ数の関係で掲載しきれない
- 限られた紙面の中では、自己PRや制作物の背景まで十分に伝えきれない
- 制作したWebサイトを見てもらうにはURLを入力してもらう必要があり、見る人にとってハードルが高い
【フリーランス活動時】
その後、フリーランスとして活動するようになってからは、WordPressを使ってポートフォリオサイトを公開しました。このときはアルバムのときとは違い、自由度が大きく変わり「伝わるポートフォリオ」に近づけた実感がありました。
- 自分のドメインを取得して公開したことで、ポートフォリオそのものが「スキルの証明」になる
- 制作物を好きなだけ掲載できるので、作品が増えても困らない
- 自己紹介ページを作り、経歴や強みをしっかり伝えられる
- 制作物のリンクを直接見てもらえるので、採用担当にとってもチェックがしやすい
この経験から学んだのは、「見せ方」よりも「伝え方」が大事 だということです。
アルバム形式であっても、WordPressのサイト形式であっても、最終的に評価されるのは「中身」です。
制作物の魅力をただ並べるだけではなく、そこに「自分はどんな人なのか」「何を強みにしているのか」を添えてこそ、採用担当者の心に響くポートフォリオになります。
つまり、ポートフォリオは「作品集」であると同時に、「自分を紹介するためのプレゼンテーション」でもあるのです。
これからポートフォリオを作る方には、デザインを見せることに加えて、“自分の人柄や考え方をどう伝えるか”という視点を持つことをおすすめしたいです。
転職成功のためにやっておくべきこと

転職を成功させるためには、ただ応募するだけではなく、事前の準備がとても大切です。
特にWebデザインのようなクリエイティブ職では、自分の強みや経験をどのように伝えるかによって結果が大きく変わります。
自己PRやプロフィールの整え方、面接に向けた準備などを意識しておくことで、自信を持って挑戦できるようになります。
1. 自己PRを応募企業に合わせて調整する
自己PRは一度作って終わりではなく、応募先の企業ごとに少しずつ調整することが大切です。どの会社にも同じ文章を出してしまうと「汎用的で本気度が伝わらない」という印象を与えてしまいます。
強みやキャリア目標とどうつながるかを文章に盛り込むだけで、説得力がぐっと増します。
「御社だからこそ挑戦したい」という気持ちがにじみ出る自己PRは、採用担当者の心を動かす強力な武器になります。
【ポイント】
2. 実績が少ない場合の工夫
未経験者や学生の方にとって、「実績が少ない」という悩みはよくあることです。
しかし、それを不利に感じる必要はありません。授業で作成した課題や個人制作のWebサイトも、立派なポートフォリオの一部になります。大切なのは、作品そのものだけでなく「制作過程でどんな工夫をしたか」や「そこから何を学んだか」を丁寧に書き添えることです。
模写やリデザインの作品も、単なる練習ではなく「分析力」や「改善力」を伝えるための有効な材料になります。経験の少なさを隠すのではなく、成長意欲や吸収力を示すことこそが信頼につながるのです。
【ポイント】
3. 面接を意識した準備をする
ポートフォリオを提出すると、面接でその内容について質問されることが多くあります。
そのため「なぜこの作品を選んだのか」「どのような工夫をしたのか」といった具体的なエピソードをあらかじめ整理しておくことが重要です。文章にまとめるだけでなく、実際に声に出して話す練習をしてみると、本番でもスムーズに答えられるようになります。
書けることと話せることは必ずしも同じではありません。事前に準備しておくことで、自信を持って自分の強みを伝えられるようになります。
【ポイント】
4. 転職サービス・スクールを活用する
ポートフォリオや自己PRを一人で仕上げるのは簡単ではありません。
そこで活用したいのが、転職エージェントやデザインスクールなどのサービスです。
エージェントを利用すれば、自己PRの添削や企業ごとの具体的なアドバイスを受けることができ、より採用に近づける文章を作ることができます。
スクールに通っている場合は、学習過程そのものを実績として提示できるのも大きな強みです。
また、模擬面接やポートフォリオ講評サービスを受けることで、独学では気づけなかった改善点を発見できるでしょう。プロの目を借りることは、自信を持って転職活動に臨むための近道になります。
【ポイント】

プロの目を借りることも、転職成功の近道!
自分らしさを伝えることが、転職成功への第一歩
ポートフォリオは作品集であると同時に、あなた人柄や考え方を伝える大切なツールです。
特別な表現や華やかな経歴がなくても大丈夫。小さな経験や工夫も、立派な強みとして伝わります。
採用担当者が見たいのは、あなたがどんな価値を生み出せるか、という点です。
だからこそ「自分らしさ」を言葉や形にすることが重要になります。
焦らず着実に、自分だけのポートフォリオを育てていきましょう。